「バズ・ライトイヤー」観てきました。
バズ・ライトイヤーは「トイ・ストーリー」でアンディ少年のお気に入りに加わった、スペース・レンジャーのクールなおもちゃです。
この映画はトイ・ストーリーとは関係なく、主人公のバズに焦点をあてたストーリーです。
(以下、一部ネタバレあり)
バズの失敗により大勢の宇宙旅行のメンバーが自らの星への生還が出来なくなります。
バズは責任を感じ最後まで、その失敗をリカバリーするために奔走します。
バズは亜光速の実験を繰り返すのですが「浦島効果」で自分だけがほぼ年齢を重ねないまま、仲間たちはどんどん歳をとり死んでいきます。(一回の実験で四年が過ぎる設定です)
バズは生還にこだわりますが、実は彼以外のメンバーは新天地で生きていくことを受け入れている。
バズはいつのまにか居場所を失っていきます。
最後の実験で四年間バズ不在の間に、ロボット軍団の強大な敵が現れます。バズはその敵と、一見ポンコツの三人組とネコ型ロボットを仲間に戦うのですが、その敵のボスは実は未来のバズ自身であった。
若バズが手に入れた新エネルギーを使って老バズは時間を巻き戻し、失敗の前に戻ってすべてをチャラにしようとする。
若バズは新しい仲間たちの人生をすべてなかったことにしようとする老バズに抵抗します。
間違いなくバズが主人公なのですが、重要なパートナーであるアリーシャの存在はとても物語で重要な役割を果たします。
アリーシャは
①黒人
②バズの上司(彼に「命令よ」と言える立場です)
③レズビアン
④男(父)なしで出産する
バズに脅威を与えるのは父ではなく自分自身。
見事に丁寧に「父性」が排除された映画です。
バズは自分の信念に従って、つまりほぼ二世代の間自分の信念に執着する人物として描かれます。(映画ではマイナスイメージゼロですが)
老バズはその執着の最終形態です。
若バズは老バズの執着を破壊するため、苦労して手に入れた新エネルギーを破壊します。
自分の信念を切り捨て、コミュニティーの絆を選択するのです。
バズは最初は自分の責任を自分一人で背負い、新人の育成と仲間からの援助を拒否するのですが、徐々にメンバーシップの重要性に目覚めていきます。
まあ、お見事な「フェミニズム」映画でした。
バズはおそらく新しく期待される男性像なのでしょうが、そこに「父」は不在です。
今、河野真太郎の著作にはまっています。
おそらく河野氏はどこかでこの映画について論評するでしょう。
楽しみです。