国とは何か、国民とは何か。
国民とは、歴史、文化という物語を共有するまとまりのこと。
日本という国土に住んでいるということだけでは、すなわち日本人であるとは言えない、ということになる。
アメリカ北部が奴隷制度を廃したのは、奴隷の衣食住全てを抱え込むよりも、工場経営のためには、賃金で雇用して、生活は自分自身で面倒見てね、というやり方のほうが都合が良かったからだという話がある。
グローバルな世界観における平等、多様性というのは、実は資本主義による要請であって、人間性の進歩なのではないというモラル観があることも承知している。
要は大事なのは「仲間たち」であり「外部のものども」は敵である、というのが世界における標準なのだ。
グローバルな平等など西洋の奇習にすぎないというわけだ。
私はこの考えを無視出来ない。
世界はこの流れに回帰しているようにも見える。
ただ、これを貫徹出来るのは、アメリカ、ロシア、中国、インドくらいのものであろう。
その国だけで閉じてもやっていける資源のある国。
日本は江戸時代並みの人口とエネルギー密度と食料生産に戻るべきなのだろうか?
MORAL 善悪と道徳の人類史 ハンノ·ザウワー
より。