如何にして藤川はこうなったか⑦
高校生までフルート吹いていた私は、何も考えずにオーケストラを覗きました
多分ブラスバンドはなかったです
新歓の時期でしたが苦労してオーケストラの練習場を探すと、そこには半跏思惟像の脚組をした人が数人いて楽器を磨いてました
「あのう、フルート吹きたいんですけど…」
その半跏思惟像は、私を一瞥(いちべつ)すると、
「プロについて習ってもらうけどいい?」
とそっけなかったです
ビビって恐れをなした私は、その足で、じゃ合唱団「でも」見てみようか、てな感じで合唱団の練習を見に行きました
合唱団は歓迎してくれましたね
そこで先輩方が歌っていたのが「五つの童画」でした
高田敏子 作詞
三善晃 作曲
三善先生 35歳の時の作曲
1968年の作です
私が大学生になったのが1980年
12年前の楽曲だったのですね
楽譜を見せて頂いて衝撃的でした
普通 3/4 とか4/4拍子とかの拍子記号で曲が始まり、三拍子の歌とか四拍子の曲とか言うのだと思います
五つの童画は、1.5/8+5/8 やら1/8やらあって目が回りました
なんじゃこれ?!
先輩方はこんな難曲を歌ったら新入生(私達)は恐れおののいて逃げ出すのではないかと心配していたようです
指導して下さったのは 栗山文昭先生 38歳の時です
今でこそ栗山先生は合唱界で知らぬ人がいない(と思います)御大ですが、当時は売出し中だったのだと思います
ハマりました
同級生は多分皆そうです
多分今でも童画歌える
いわゆる強豪校の高校生は大学生になると歌を辞めてしまう人が多かったようです
私を含めて合唱初心者は多かったと思います
そしていきなり 1.5/8 拍子(うろ覚え)
ある一定水準以上の何かを成し遂げた、という感触を抱かせて頂いた最初の経験です
先輩の心配をよそに、私達の学年は40年を経た今に至るまで合唱を愛し続け、歌い続ける仲間たちが多い特殊な学年だと思います
今でも付き合いがありフェイスブックでも繋がりがあります
ありがたいことです
つづく…