私は必見だと思う。
美鈴(奈緒)と美奈子(三吉彩花)は親友である。
冒頭で、美奈子と早藤(風間俊介)が婚約すると、主人公の美鈴に知らされる。
実は、早藤は暴力的な凌辱を受け入れてしまう美鈴に強く欲情し、婚約者の美奈子とはセックスする気になれないでいる。
もちろん、美鈴はこのような関係を終わらせたいと思いつつ、言葉でも、暴力でも、そして快楽においても早藤から離れることが出来ないでいる。
美鈴にあるのは極端な男性嫌悪と自己嫌悪だ。
美鈴は高校の国語教師だ。
受け持ちの男子高校生である新妻(猪狩蒼弥)がバイト先の女主人とホテルから出てくるのを目撃され問題となり、美鈴と新妻が面談する。
新妻は、意に沿わぬセックスを強要され、女性器に対して恐怖を抱くようになったと告白する。
美鈴は新妻が男性であることを理由に、強者である男性が一方的に悪いのだ、と強弁する。
一方、美鈴はひたすら、早藤を嫌悪しつつセックスを受けいれ続ける。
そのシーンがひたすら繰り返される。
新妻との関係を経て最後に自立を宣言する美鈴にパニックを起こした早藤は美鈴を激しく打擲する。
最後に、自分がクズだと認識できている早藤は自殺を図るが。美奈子に助けられすべてわかっていたとつげられる。
多くの女性はもはや美鈴に感情移入できないと思います。
暴力を伴うセックスを受け入れてしまう女性(美鈴:奈緒)。
犯罪を犯した男をなおも慕い続ける女性(美奈子:三吉彩花)。
子供を授かるヴァギナによる罪から解放と希望。
なるほど、まったく男性監督の男性目線から見た、男の勝手な欲望が展開されているだけかもしれません。
でも、
これ恐ろしい話なのです。
「暴力を全く排除した性愛は成立するのか?」
「支配を伴わない欲情はあり得るのか?」
多くの男性はこれに心の底から〇を付けることができない。
美奈子(美鈴でない)は最後に暴力的にセックスを強要され、妊娠することに大きな喜びを感じている。
多くの女性はこのことを受け入れないでしょう。
男性も頭ではわかっています。
でも本当に暴力と支配を完全に排除した状態で勃つだろうか?
それは男にとって去勢ではないのか?
女性化することによってしか男は女と結ばれないのではないか?
そういうことを男は突きつけられてしまう。
最後に早藤(:風間俊介)は美奈子に許される。
目の前に自分の子供がいる。
美奈子の妊娠を知らされた早藤が起こすパニックは支配する側からの転落を意味していたとして、
果たして早藤は今後、美奈子を相手に勃つだろうか?
政治的に正しい世界で果たして欲情はあるのか?
新妻(:猪狩蒼弥)がおそらくその解を与えてくれるのだろう。
新しい性愛が発明されなけらばならない。
しかし多くの男性は恐ろしくて性愛から離れていくように思えます。
そして何も考えない男と女だけが欲情を満たしていくような…