生命学に何ができるか
森岡正博
p243 より

 

脳死からの臓器移植を推進する意見も私は理解できるし、それに反対する意見も私は理解できる。中絶を女性の権利として主張する意見も私は理解できるし、それを胎児殺しだとして非難する意見も私は理解できる。これらの問題は、ほとんどの人が、相反する両方の意見を我がものとして理解できるからこそ、難問となっているのである。単純で一面的でもいいから、どちらかの立場で一刀両断してすっきりしたい、という誘惑に最後まで抵抗すること。これらの難問に直面したときにわれわれを襲う「とり乱し」の状況にまずは耐えること。

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